金属工業用化学品
金属化学品分野には、金属を加工しやすくするための助剤を中心とした「塑性加工分野」と、金属の表面に目的に応じた特性を付与する「表面処理分野」の2つがあります。塑性加工用助剤は伸管・伸線・圧延・プレス・鋳造等の加工に、表面処理用助剤は防錆・脱脂・帯電防止などの目的に使われています。用途としては、橋などの構造物、船舶、自動車や宇宙開発ロケットの燃料タンクなど幅広く使われています。電材分野にもいち早く参入し、半導体などのハイテク分野でも使用されています。例えば半導体チップの基盤となるシリコンウェーハの切削工程には、切れ味を高めるためのスライシング剤が使われています。
有機化学を得意とする当社において当分野は無機化学に最も近い位置にあるという特長を生かし、無機有機複合化学の域まで技術レベルを高めていきたいと考えています。例えば、有機物質の複合体を鋳型として利用して、ケイ酸などの無機物質による超微細な細孔を形成するなどの技術は、当社が蓄積してきた技術をファイン化し、将来へつながる恰好のテーマと位置づけています。
鉄はあらゆる産業の基礎素材です。鉄は何段階ものプロセスを経て製品になります。中でも最も重要なのは、塑成加工(外力を加えて薄く伸ばしたり形を変える加工のこと)プロセス。ここで使われている潤滑剤や表面処理剤を最初に開発したのが共栄社化学でした。
当社の開発した乾式伸線用潤滑剤「コーシン」は、その後『コーシン』という呼び名で塑成加工分野でごく一般的に使われるようになったほどです。そして現在でも当社は塑成加工用助剤の分野でNO.1の市場シェアを占め、当社の製品をつかって加工された鉄鋼製品は、大型の橋梁を支えるメインロープやボルトナットなど社会基盤整備にも活躍しています。